移住先選びにおいて、優先する条件は人それぞれ。気候や自然環境、都心への出やすさ、教育環境や子育て支援など、自分たちは何を重視したいのか、譲れないものはなにか見極めることは大切です。
その一つの条件に「移住・定住支援」が充実している自治体を選びたいという人もいるでしょう。
実際、移住には、新居選びや家の購入、引っ越し費用など多くのお金がかかる上に、仕事も変わる場合は、現在と同じ収入が得られるかはわかりません。
「家族移住」の場合は家もある程度の広さが必要ですし、子どもの転校に伴い学用品や制服の買い替えといった出費が発生することも多いです。また多くの地方では、車は大人一人につき一台必要となるため、さらに費用はかさみます。
つまり、家族移住は金銭的な負担もより大きくなる可能性が高いといえるでしょう。
だからこそ、移住者向けの支援を受けられるのは、新しい場所で生活の土台を築く上で大きなメリットとなります。また、子持ち世帯にとって、充実した子育て支援施策も欠かせません。
現在、移住を積極的に受け入れている自治体のなかには、移住者に対し手厚い支援を行っているところが増えており、その内容は住まい、仕事、子育て、交通など多岐にわたります。
今回の記事では、家族移住を検討している人にとって、移住/子育て支援が充実している自治体を全国から5選紹介します。なお、移住支援の施策はその年によって変わることが多々あります。
この記事では、2023年12月現在の情報をもとに記載しており、詳細については各自治体にお問い合わせください。
関西在住の30代会社員。夫・0歳の子どもと3人暮らしで、現在は夫婦でダブル育休を取得中。
2年後に予定している長野県伊那市への移住に向け、現在準備を進めています。
移住定住支援、子育て支援が充実している自治体5選
多くの自治体で移住定住支援の一環として、住まいのサポートを行っています。住まいは生活の基盤であり、費用も大きいため、支援を受けられるのは大きなメリットです。
ただ当然ながら、自治体にとっては「定住」してもらうことが最終ゴールということもあり、全国的に家の新築や中古物件の購入及びリフォームに関する支援が多い傾向にあります。
一方、家族を伴っての移住は、家族のメンバーそれぞれが移住先のコミュニティや気候に馴染めるのか、仕事はうまくいくのか、など不確定要素が多いといえます。
移住先の市町村の中でも、住宅エリア、役場やスーパーなどが集まっているエリア、自然が豊かなエリアなど、どのエリアが自分たちの思い描く生活にマッチするのか、一定期間暮らしながら見極めることも大切です。
長く住むつもりであっても、少なくとも一年間は賃貸で様子を見ておく方が良いでしょう。
今回の記事では、移住先で家の購入をすぐに行わず、まずは賃貸で住みたいという人でも、住まいのサポートを受けられる自治体を中心に紹介します。
また家族移住を検討している人にとって子育て支援は重要です。以下の5つの自治体は、移住支援に加え、子育てにも手厚いサポートをしている市町村なので、家族移住の候補先としても検討の余地が高いといえるでしょう。
①兵庫県洲本市
②茨城県境町
③島根県飯南町
④北海道沼田町
⑤長野県宮田村
①兵庫県洲本市
関西地方からはこちら!淡路島は沖縄に次ぐ日本第二位の面積を誇る離島で、神戸や四国とも橋で繋がっているのでアクセスは良好。
瀬戸内の温暖な気候に加え、きれいな海と山に囲まれており、自然豊かな場所でのんびり子育てするにはぴったりです。大型の公園やテーマパークも複数あるので、子どもの遊び場には困らず、保育園〜高校まで教育環境も充実しています。
離島暮らしを楽しみながらも、観光地で飲食店や温泉などもあり、都会へもアクセスしやすいので、魅力度の高い移住候補先だといえます。
移住前の支援も積極的に行っており、住居・仕事探しに当たって、宿泊施設「ウェルネスパーク五色 浜千鳥」を年間あたり最大10日間、無料で利用可能となります。
洲本市内の他の宿泊施設を利用する場合であっても、高速代や宿泊費用など移住準備活動に要した経費のうち10万円を限度として1/2の金額の補助を受けられるので、現地でじっくりと情報収集ができます。
<移住支援>
・賃貸入居者に補助金
移住に伴って発生する住宅取得・引っ越し・自動車購入でかかった費用のうち最大60万円の補助
・起業に必要な経費の補助
淡路島で新たに事業を興す場合、必要な経費の1/2(最大50万円)の補助
<子育て支援>
・出産祝い金として一人目3万、二人目5万、三人目10万、4人目20万円を贈呈
関連リンク
兵庫県洲本市 移住支援制度
②茨城県境町
千葉県と埼玉県の県境にあり、車を使えば都心までわずか60分というアクセスのよさ、そして町のあちこちに美しい田園風景が広がるのどかな場所です。
大型のスーパーや子どもを連れて遊べる施設、地元食材をふんだんに使ったおしゃれなレストランなど生活に便利なスポットも多いです。
また「子育て支援日本一」をめざしており、子育てに関する施策も充実しているのも特徴。教育面でも、全小中学校にALT(外国人指導講師)を常駐したり、英検の受験を年に1回無料としたり、子どもたちが日常的に英語に触れる機会を増やしています。
移住支援も全国トップレベルの手厚さで、宝島社による「2023年版 住みたい田舎ベストランキング」において、「移住者の割合が高い」部門で全国3位に選ばれました。
<移住支援>
・新婚/子育て支援住宅「アイレットハウス」
月額58,000円で100平米の新築一戸建に25年住み続けると、土地と建物を譲渡
・新婚、子育て世帯に家賃補助
月額15000円(最大2年間360,000円)の補助
・新婚世帯の引っ越し住居費用補助
住居費や引っ越しの一部費用を最大60万円まで補助(39歳以下、夫婦の所得合計が500万未満の世帯を対象)
・町民税の最大50%相当額の移住奨励金
境町へ転入して2・3年目に課税される住民税の30%相当額、4年目は40%相当額、5年目は50%相当額を奨励金として交付
<子育て支援>
・育児用品購入クーポン3万円贈呈
・チャイルドシート購入補助8,000円
・子ども医療費が20歳まで無料
・3~5歳および小中学校の給食無料
・第2子以降は0~2歳の保育料無償
・第3子以降の出産はお祝い金最大50万円を贈呈
関連リンク
茨城県境町 移住移住支援制度
③島根県飯南町
広島県との県境に位置し、町域の約90%が林野という自然豊かな町で、夏は涼しく、冬は雪景色で一面となる高原地帯です。
美しい森を活かした「森林セラピー」にも力を入れています。宝島社による「2023年版 住みたい田舎ベストランキング 人口1万人未満のまち」部門において、若者・子育て・シニア世代の3部門で2位を獲得しました。
2003年ごろから移住促進を始め、現在でも毎年約50名ほどの人たちが飯南町に移り住んでいます。妊娠・出産から高校を卒業するまで、絶え間ない子育て支援が受けられることも好評です。
農林業に就いて定住を目指す人への研修・支援などが手厚く、就農者も増えています。農業は、始めようと思っても知識や経験、資金や土地がなければ難しい分野なので、現地で基礎から学びながら収入を得られるこの制度は、大変メリットが多いといえるでしょう。
また、今の時代にマッチした農業スタイルを取り入れ、「半農半X」という農業と他の仕事を両立する暮らし方にも助成金のサポートも行っています。
<移住支援>
・農業研修制度
2年間、毎月15万円の収入をもらいながら農業の技術や知識を学び、自営就農を目指す制度(子どもがいる世帯は追加で3万円支給)
・定住促進賃貸住宅
月額4万円で新築セミオーダーの住宅に25年住みつづけると土地と建物を無償譲渡
<子育て支援>
・おむつ代など月額5000円補助
・出産祝い金として一人目〜二人目10万円、三人目以降は50万円を贈呈
・第3子以降の子を出産すると、子どもが4歳を迎えるまでの間、年間10万円を支給
・0~2歳の保育料無償、保育所の給食費も無料
・町営学習塾の利用が中学生無料、高校生月額5,000円
関連リンク
島根県飯南町 移住情報ポータルサイト
④長野県宮田村
南アルプスと中央アルプスの二つのアルプスを望み、降雪が少なく晴天率が非常に高いので、四季折々の美しい景観を味わうことができます。半径2kmの範囲に学校やスーパー、役所、医療施設など生活に欠かせない施設が揃っているため、生活動線がコンパクトでスムーズ。
また伊那市など大きな市にもアクセスが良く便利です。「子育て支援日本一の村」をめざし、安心して子どもを産み育てることができる環境づくりに力を入れています。
移住者が増えており、宝島社による「2023年版 住みたい田舎ベストランキング 人口1万人未満のまち」において、子育て世代部門と総合部門で3位を獲得しています。
村が運営する移住体験住宅「ベース☆みやだ」も人気で、平屋の一戸建てを1~30日間1泊1000円/人で借りながら宮田村の暮らしを体験することができます。
<移住支援>
・賃貸住宅家賃補助
家賃の一部として月額10,000円を最大3年間補助
・移住希望者向けの賃貸住宅
月額でマンションタイプ35,000円、メゾネットタイプ38,000円という格安賃貸物件の提供
・UIJターン補助
東京圏(埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県)、愛知県又は大阪府から移住し、長野県内で就業、起業、もしくはテレワーク就業する場合、最大200万円の移住支援金を支給(子ども加算含む)
<子育て支援>
・誕生祝い金として、一人目6万円、二人目8万円、三人目13万円、4人目20万円、五人目50万円を贈呈
・3歳以上児の給食費完全無償化
・小中学校給食費として年額5,000円補助
・入学祝い金として小学校1万円、中学校3万円の贈呈、通学カバンのプレゼント
・高校生の通学費として年額35,000円補助
関連リンク
長野県宮田村 移住支援制度
⑤北海道沼田町
「ほたるの里」や「夜高あんどん祭り」で有名で、北海道らしいきれいな海や山、川といった大自然に囲まれた地域です。「歩いて暮らせるコンパクトシティ」を謳い、駅を中心とした半径500m以内の範囲に病院や学校、保育園、介護施設やスーパーなど生活に必要な施設が揃っていて便利です。
政府から地域活性化モデルケースに認定されており、空き家を活用したまちづくりや地域イベントなどが積極的に行われています。
「子育て満足度日本一」をコンセプトとして掲げ、子育て世帯への支援も日本トップレベルの手厚さ。
宝島社による「2023年版 住みたい田舎ベストランキング 人口1万人未満のまち」部門において、若者・子育て・シニア世代・総合の全4部門で堂々の一位に輝きました。
<移住支援>
・ヤング世代移住促進家賃助成
40歳未満の世帯に対し月額31,000円までの家賃補助を3年間支給
<子育て支援>
・認定こども園の保育料完全無償
・高校生まで医療費無料
・高校生のいる家庭に月額10,000円補助
・暖房費の助成
・子育て世帯の保護者の町外通勤補助
関連リンク
北海道沼田町 移住定住情報公式サイト
番外編:政府の移住支援制度「移住支援金」
子育て世帯の移住を後押し!都内23区からの移住検討者に朗報です。東京都23区内に住んでいる、もしくは23区内に通勤している人は、自治体だけでなく国からの支援も受けられる場合があります。
支給条件は、移住先での就業もしくは起業をすること、または移住前の仕事をテレワークで継続することです。
単身者は最大60万、二人以上世帯は最大100万円の支給です。さらに2023年からは拡充され、18歳以下の子ども一人につき100万円が加算されることになりました。移住先の自治体によって細かな条件が異なる場合もあるので、詳細については自治体にご確認ください。
地方創生移住支援事業
まとめ
様々な自治体が提供する移住支援制度について見てきましたが、いかがだったでしょうか。上記の自治体では、「地域みんなで大切に子どもを育てる」ことをモットーに、子育てをサポートする制度も充実しています。
子どもを自然豊かなところでのびのびと育てたい、通勤含めた働き方や時間の使い方を見直し、家族の時間をもっと大切にしたい、という思いがある人には地方移住は一つの選択肢となるのではないでしょうか。
ただし、先にお伝えしたように移住支援制度はあくまで「定住」してもらうことがゴールです。「お試し移住」とは異なるので、移住支援を受けてすぐにその土地を出ていくことになった場合、返還義務が生じる場合もあるので要注意です。
自分たちが長く住み続けたい場所はどこなのか、その土地でどんな暮らしをしたいのか、をじっくりと家族で相談しましょう。気になる支援があれば自治体に問い合わせしてみてくださいね。