北海道は、人口約509万人、面積は83424㎢国土の20%以上を占め、都道府県で最も広い面積を誇ります。北海道だけの面積でオーストラリアの国土とほぼ同等の広さになります。
そんな北海道ですが、都道府県魅力度ランキングでは15年連続1位、行きたい都道府県ランキングでも堂々の1位と、日本人だけでなく世界からも注目を集め続けております。
北海道の魅力に取りつかれて移住したいと望む人も一定数いますし、私が知る人では北海道が好きすぎて何度も足を運ぶ内地(北海道弁で本州)の方も知っています。
なぜ北海道がここまで魅力的なのでしょうか?
美味しいものは全国にありますし物産展などで容易に物も入手出来る時代です。
そこで今回は、北海道に住んでる筆者の視点から北海道の大変なことを「北海道はやめとけ」と題して紹介していこうと思います。
目次
北海道に住むのはやめとけ!?
広大な敷地面積がある北海道、その土地柄で人口密度は低く落ち着いた環境でゆっくり過ごせるというのが魅力の1つに挙げられますが、そこに住む道民は苦労も色々してきています。
北海道にはさまざまな地域がありますが、まず札幌を例としていくつかお話していこうと思います。
北海道の中心札幌市は、全国住みたい街ランキングでは2位になるなど観光地としての知名度だけでなく、家賃の安さや治安の良さで暮らしやすい街として人気を集めています。
札幌といえば美味しい食べ物、県庁所在地でありながら市内、郊外にも豊かな自然があり、そこには日本人だけでなくたくさんの外国人も訪れます。
さらに、札幌市は全国平均と比べて格段に家賃が安く、1LDKが3~4万で借りられる地域もあります。特に札幌駅から程近い北海道神宮がある札幌中央円山区域は、周辺に大使館があるので、都市の中で豊かな自然と治安の良さが人気の理由となっています。
そんな良い要素しかないと思われる札幌ですが、実は先ほど挙げたキーワードの中にも市民が苦労している部分があるのです。
季節に憧れるのはやめとけ
北海道だけでなく全国的に言えることですが、気候変動が見える形で市民生活に影を落としています。
避暑地であるはずの北海道、本州の猛暑から逃れたくて北海道にやってくる人が多いですが、その暑さは年々と本州の暑さに近づきつつあります。
それを示すのは湿度です。北海道も地域によって40℃近くに達する地域もありますが、湿気がないカラッとした暑さが特徴でした。
しかし、ここ数年の北海道は経験したことがない湿気がある暑さがこの地域を襲っています。特に去年は1ヶ月ほどこの暑さが続き、観測史上最も暑い年になりました。
その暑さが農業や漁業など第一次産業にも影響が及び災害レベルだと言われました。
災害レベルは暑さだけではない
北海道の冬にも異常が発生しており、ここ近年温暖化の影響で大雪が市民生活に影を落としています。
温暖化になれば雪が少なくなるのではと思う方もいると思いますが全く違います。地表や海上から温められた空気が大気に流れ込み、湿った重い雪を降らせる雲を発生させてしまうのです。
その影響が顕著に出てしまっているのが北海道の中心札幌です。
北海道は広いので雪の降り方もさまざまですが、札幌に限っていえば少し前まではそこまで多く雪が降る地域ではありませんでした。
しかし、近年は石狩湾から低気圧が発達し、湿った重い雪が吹雪となってその周辺を襲いかかります。その影響は市民生活、交通網に甚大な影響な影響を及ぼすほどです。
空港や駅などで足止めをくらい数万人の観光客に影響というのは毎年のように発生しています。それでも札幌は大都市だから除雪すればすぐに雪の影響がなくなると思う方もいるかもしれません。
しかし、人力でも賄えない、除雪業者も手が回らず来れないレベルの大雪を想像できますか? 筆者は嫌というほど経験しています。
2車線あるはずの道路が1車線、車が大揺れするほどガタガタ路面、車のブレーキが効かないアイスバーン、数メートル先が見えないホワイトアウト、これらの書いたことは全て札幌中心部で起きた実体験です。
家賃は安いが、除雪費用は含まれていない
先ほどもお話しましたが、札幌は全国的に家賃が安いと記載させていただきました、実は大きな落とし穴があり、これは北海道あるあると捉えても構わないのですが、家賃が安い=除雪費用が含まれていないのです。
どういうことかと言いますと、除雪がしっかりとされている地域は家賃または町内会費によって除雪費用が賄われています。
北海道の街中を歩いていると除雪されている地域とそうでない地域景色が全く違うので、北海道に興味がある方はぜひ一度見に来てください。
これは札幌に限ったことではないので、移住を考えてる方は雪がある生活というのを考えた上で臨むことをおすすめします。
オリンピックより生活、札幌市民の切なる願い
皆さんは札幌オリンピック招致断念になったニュースをご存知でしょうか?これはオリンピックの汚職問題も影響を及ぼしましたが、何よりも札幌市民の支持が広がらなかったのも大きな要因でした。
一体なぜそうなったのでしょうか?
北海道の冬の生活というのは想像以上にハードなものです。雪がある生活というのは通勤、通学も普段以上に時間がかかります。
増してやそこに大雪が重なり交通網が麻痺したら目的地に辿り着くだけでも苦労するわけです。自治体にとっては大型イベントによる招致でインバウンド事業による収益を上げたいのは理解できます。
しかし、市民にとっては目の前の仕事や生活が大事、招致よりも市民生活に尽力して欲しいその溝が今回の招致断念に繋がることとなりました。
さっぽろ雪まつりも市民の評価は高くない
札幌の1大イベント1つ、雪まつりも市民の評価はそれほど高くはありません、なぜかというと日本全国、海外から多くの人がやってくるので昔から雪まつりに行けば風邪をうつされると言われています。
実例を挙げますと、コロナが流行した最初の年札幌市は多くの反対の声がある中、雪まつりを強行しました。その結果感染者が急増、市中感染が拡大したきっかけになりました。
コロナの脅威は小さくなりましたが、インフルエンザは変わらず流行っています。特に小さいお子さんや受験シーズンを控えた学生は注意が必要です。
北海道にやってきて雪まつりが見たい. しかしそこで体調を崩したら元も子もありません。楽しく過ごしたいのであれば感染対策をしっかりした上で行くことをおすすめします。
移動はやめとけ
移動はやめとけ、これは一体どういうことでしょうか?
先に結論から言います。北海道の地域間を移動するより、札幌から東京までおよそ800km離れている新千歳空港⇔羽田空港の方が圧倒的に早く着きます。
その実例を挙げていきましょう。
北海道の地域間の移動距離
まずは札幌から東京間、飛行機で行けば1時間もかかりません。
では札幌から新千歳空港に行くまでどれほど時間がかかるかご存知でしょうか?
実は車、電車で行っても1時間以上かかります(※快速、特急であれば1時間以内)移動するだけで東京に着ける距離になります。
これは大阪⇔京都間にあたります。空港に行くだけで都市間を移動できてしまうのです。
次に札幌から隣町の観光地小樽へはどれくらいかかるでしょうか?
こちらも車で1時間かかります。このように地図を見るだけではわからない距離感が北海道には存在するのです。
それでは札幌から旭川、函館など北海道を代表する都市への移動はどれくらいかかると思いますか?
札幌⇔旭川間ですが、距離は約130kmこれは東京から静岡の距離にあたります。
ではさらに遠い、北海道新幹線が走る函館までの距離は、ほぼ倍の約250kmこの距離は東京から福島まで行けるというとてつもない距離になります。
もしも、北海道に住んで何も知らずに休日にふらっと立ち寄りたいと考えてる人がいれば、今すぐ考え直してください。北海道の人間でも見知らぬ道は迷います。
また場所によっては数十kmとガソリンスタンドがない地域もあります。
万が一ガス欠になったら季節によっては命にも関わる重大なリスクが伴うので、しっかりと予定と準備を立ててから行動しましょう。
働くのはやめとけ
北海道には美味しい食べ物がたくさんあります。それは農業や漁業などの第一次産業によって成り立っています。
そこに憧れて北海道で働きたいという人もいます。しかし、わざわざ北海道にこだわる必要があるでしょうか?
北海道ではなくても他の都府県にも魅力的なものはあるはずです。ここでは北海道で働くことのリスクを紹介していきます。
冬の仕事がない、あなたはどうする
北海道の大自然に囲まれながら仕事する第一次産業はとても魅力的です。北海道の魚介類、野菜、果物は全国で需要がある特産品となります。
しかし、冬になると雪の影響で北海道の第一次産業は春先まで稼働を縮小します。山は雪に覆われ、海は毎日のように荒れます。
それでもハウス栽培や冬でも漁がある人もいますが、割合としては多くありません。なぜなら寒さによる暖房代や除雪費用、費用対効果を考えるとわざわざ冬に行動するメリットが少ないどころかマイナスにもなりかねないからです。
もしあなたが北海道に住んでいて冬に仕事がなくなったらどうしますか?
食べていくためには新たな仕事を探さなくてはなりません。
今回例に挙げた第一次産業ですが、筆者が知る限り冬季は除雪など冬ならではの仕事をしている人が多いです。他にはスキー場の管理員やスキーを教えるインストラクターとして働いてる人もいます。
このように働く人は冬季限定の仕事ということ、シーズンが終われば自然と本来の仕事にスライドすることが出来るというメリットがあり、自治体が人材離れを起こさないように仕事を斡旋してる地域もあるようです。
このように北海道に住むということは冬に仕事を失うリスクを考えた上で行動しなければなりません。
北海道の美味しい食べ物を提供している人達は、厳しい冬を乗り越えて春に行動を起こしています。
北海道移住はやめとけ、その先にあるものとは
いくつか挙げて紹介していきましたがいかがだったでしょうか?
北海道移住、住むということは本州よりも大きなデメリットがあります。
また、地方の人口減は顕著で北海道の中心である札幌も近い将来その影響を避けられないでしょう。
しかし、それはある意味チャンスでもあるのです。北海道の広大な大地は多くのビジネスチャンスを秘めています。全てのデメリットを理解した上で用意周到の準備が出来れば大きなメリットを得られるかもしれません。
厳しい冬を乗り越えた北海道は海も山も美しいです。それを理解した上で一度訪れてみてはいかがでしょうか。