自然豊かな地域で生活したい人や、のんびりと子育てしたい人、地元に転職して新たにキャリアを作りたい人など、地方移住を目指している人の描くイメージはいろいろありますね。
地方移住では、Uターン・Iターン・Jターンなどの移住スタイルが、都会に住まなくても地方で仕事ができるテレワークの普及などによってさらに注目度も上昇中です。
Uターン・Iターン・Jターンの場合、移住と転職を同時に行うため、一般的な転職とは異なりライフスタイルを変えるきっかけになったり、家計を見直すことにも繋がっていきます。
そこで本記事では、Uターン・Iターン・Jターン希望者に役立つ移住や転職について、メリット・デメリット、利用できる支援制度の紹介をしていきます。
Uターンとは
Uターンとは、一度故郷を離れて進学や就職した後に、再び生まれ育った場所へ帰って働くことです。
生まれ育った環境で再スタートするには、土地勘や知り合いのない移住初心者よりも順応しやすく、転職や社会人としてはじめて就活する人がUターンを目指すケースがあります。
Iターンとは
Iターンとは、生まれ育った場所で生活した後、別の地域に移住または転職することです。
例えば都会で生まれ育った人が、田舎暮らしや地方移住に関心を持ち、都心から地方へ移住したり転職するケースがIターンです。
Jターンとは
Jターンとは、生まれ育った場所から別の地域に移住してから、また、地元に近い地域に再び移住することです。
例えば、宮城県から東京に移住してから福島県に戻るというような、近県に移住する場合がJターンになります。
Uターン、Iターン、Jターンが増えている背景
近年、U、I、Jターンが増えている背景には、国が推進する「地方創成」があげられます。少子高齢化や人口の減少に歯止めをかけ、地方経済を活性化するためや、都市部の人口集中を抑える目的として地方移住や転職を支援する取り組みがあります。
U、I、Jターン希望者が移住しやすくなる方法として、国や自治体が交付する支援金制度を利用することができます。
また、アフターコロナのライフスタイルとして地方移住が注目されており、オンライン学習やテレワークの普及による働き方や学び方の変化も U、I、Jターンが増えている背景のひとつとなっています。
地方創成:移住情報
Uターン、Iターン、Jターンで移住・転職したい人の理由
では、U、I、Jターンで移住・転職したい人は、どんな理由やきっかけがあるのでしょうか?参考に紹介していきましょう。
仕事と趣味を活かしたライフスタイルにしたいから
地方には、都市部とは違う環境の良さを求めている人が多く、仕事以外に子育てや趣味、地方ならではの自然豊かな中でのライフスタイルを実現するために、移住や転職をしたいと考えているようです。
今の仕事を続けていくのか?不安で転職したいから
今の仕事に不満が無くても、この先も変わらず今の仕事を続けていくことに不安を感じている人も多く見られます。漠然とした不安を解消するために U、I、Jターンなどで移住や転職をきっかけにしたいと考えている人もいます。
親の老後の面倒を見たいから
実家の両親の面倒をみるために、都会生活を終えて故郷に戻って転職する人もいます。
仕事の都合上、両親の介護をしたくてもできなかった人でも、テレワークの普及によって地元へのUターンがしやすくなっている傾向です。時間と場所を有効活用できる柔軟な働き方としてテレワークが、介護と仕事を両立する働き方として広まっています。
経済的にも余裕にある生活をしたいから
都会暮らしは家賃や物価が高く、商業施設や娯楽施設などが多いので休みの日には出費もかさみます。地方に移住すれば、都会生活よりも出費を抑えて生活できると考えている人が多いようです。
都会と地方では、出費の項目が大幅に変わってくるため、U、I、Jターンすることで今までよりも余裕ある暮らしが期待できます。
Uターン、Iターン、Jターンのメリット
都会で生活するよりも、U、I、Jターンした場合は、地方ならではの良さがあります。いくつかメリットを紹介していきましょう。
通勤ラッシュのストレスから解放される
都会で働く場合、毎日の通勤ラッシュはストレスの要因にもなっています。地方移住した場合は、都内のような満員電車になることは少なく、その分余裕もできてストレス軽減に効果的です。
ただし地方の場合、地域によっても異なりますが移動手段が都会よりも少なくなるため、交通手段として車を使う方が多くなる地域もあります。
生活費が安く抑えらるようになる
都会と比較すると地方の方が、住居費や家賃が安くなる傾向です。同じ家賃でも地方の方がゆとりのある間取りで生活することができます。
食品や生活雑貨品については、都会も地方もほぼ変わらなくなりますが、郊外であれば野菜の直売所などもあり、新鮮な食材を使って料理をすれば豊かな食生活ができるようになります。
参考として、「消費者物価地域差指数」のデータによりますと、物価水準が最も高いのは東京都、一方、物価水準が最も 低いのは宮崎県となっています。
時間の余裕が生まれる
都会生活の特徴は、常に目まぐるしく早いスピードで時間が過ぎるので、仕事もプライベートも時間刻みでなければという感覚になりがちです。
一方地方の生活は、まわりに見える景色から人間の行動までゆっくりと感じるため、心の余裕や人に対してのやさしさなどが自然と身に付いていきます。
また、実際移住した人のコメントでは、夜が早く暗くなるので、生活のリズムが自然に変わってくるという感想もあります。
子育てがしやすくなる
生活費や学費に追われる都会での生活では、両親があくせく働いている中で子育てをするようになっています。一方、地方での子育ては、都会に比べ幼稚園や保育園にも入りやすい地域もあり、待機児童の問題が少ない自治体もあります。
地方での子育ては、地域の方々との距離感が近いので、ご近所さんと一緒に子どもを育てるという環境があります。
参考として、日経新聞調査の「共働き子育てしやすい街ランキング」では、1位松戸市、2位宇都宮市、3位浦安市と富山市、5位厚木市、北九州市、福生市、8位は青梅市、大分市、堺市となっています。
人とのつながりが増える
隣人との関係が希薄な都会生活とは異なり、地方での生活は、地域住民とのお付き合いが増えます。
人口が少ない地域に移住した場合は、まわりのほとんどが顔見知りになることもあり、普段の生活の中で、いつも気にしていてくれる安心感が生まれます。
Uターン、Iターン、Jターンする場合のデメリット
Uターン、Iターン、Jターンで移住・転職したい場合はメリットだけではなく、注意したいデメリットについて確認しておきましょう。
収入が減るケースもある
地方移住で転職した場合、今までよりも収入が減る場合についても考えておきましょう。
地方移住では、住居費が安くなったり実家へ戻る場合は家賃がいらなくなったりと生活費を抑えられることもあります。また、都会での遊び方とは異なり、地方生活ではプライベートな出費も変わったりもするでしょう。
移住後に必要な生活費については、収支のバランスを考えて無理のない移住計画を立てましょう。
交通手段が少なくなる地域もある
移住先によっても異なりますが、交通手段の本数が都会よりも少なくなることもあります。
実際に移住先を決めた場合、どんな交通手段があるのか、または自家用車が必要かについて検討しておきましょう。自家用車が必要な場合は、購入費や維持管理費が移住予算に入ってきます。
人付き合いの距離感が近くなる
移住のメリットの部分では、人付き合いによる安心感について挙げましたが、地方生活での人間関係については距離感が近くなる分、面倒になることもあります。
地方移住を挫折した人によくあるケースが、地方での人付き合いがうまくいかなかったという理由が多くあります。特に人口の少ない地域では、今までの習慣やしきたりに順応する必要もあるでしょう。
商業施設や娯楽施設が限られている
地方移住のデメリットを前もってわかっていても、実際に生活し始めるとギャップはつきものです。
都会であれば、ストレス解消に買い物に行ったり外食したりなど気晴らしも自由にできますが、地方での生活では、娯楽の種類は限られます。
地方移住では、ライフスタイルや今までの意識を変えるチャンスになりますので、ストレスが溜まったときに商業施設や娯楽施設が少なくても対応できるようにしていきましょう。
進学や就職先の選択は少なくなる
地方移住した場合、都会と比較すると進学先や就職先も限られた中からの選択となります。
特に子育てを都会から地方へ変える方向性で考えた場合、幼少期は良いのですが、高学年になった場合、進学校選びに悩むこともあるかもしれません。移住計画を立てる際は、移住先の教育環境について学校等も含めて調べておきましょう。
Uターン、Iターン、Jターン成功のコツ
U、I、Jターンした後に、後悔しないためにも、以下のポイントを確認しましょう。
移住地域の情報や求人情報を収集する
移住を実現するには、仕事、教育環境、生活環境などについて具体的に調べていきましょう。移住地域の情報は、自治体のホーㇺページから集めることができます。
はじめての移住支応援サイト・いいかも地方暮し
地方移住の目的を明確にする
移住の目的を明確にしましょう。単身者の場合は、夢やチャレンジのためにリスクを負ってもいいかもしれませんが、子どもや高齢者のいる世帯で移住する場合は、家族それぞれの目的をはっきりさせてよく相談して決めた方がよいでしょう。
地方転職する場合はキャリアプランを立てる
転職した後のキャリアプランについて明確にしましょう。前職のスキルが活かせる業種や、新しい仕事でも将来的に目指す方向性をしっかり決めて、転職活動を行うと良いでしょう。
仕事場所がどこでもできるWeb系やIT系の仕事の場合は、移住前から副業としてはじめてみるのもおすすめです。
子どもの将来や子育ての方針を決める
子連れで移住する場合は、都会ではなく地方で育てるメリットとデメリットを踏まえて検討しましょう。
自然の中でのびのび子育てをしたいという願望とは別に、お子さんの性格や体質に合わせて本人の気持ちも大切にしましょう。
Uターン、Iターン、Jターンは支援金制度を活用しよう
U、I、Jターンする際は、行政の支援制度を積極的に活用することをおすすめします。
マイホームのための支援
Uターン、Iターン、Jターンした後、将来的にマイホーム購入または建築を考えている方は、住宅の購入や新築費用の一部を負担する支援制度を利用すると良いでしょう。
住宅リフォームの支援
地方移住をする人を対象に空き家バンクの提供などを行っている自治体もあります。空き家バンクを利用する際のリフォーム工事については、費用の一部を負担する制度もあります。
移住支援金と起業支援金
国が実施している地方移住支援制度は2つ「移住支援金」と「起業支援金」があります。「移住」「起業」を合わせて申請すると支援金額は最大300万円の受給が可能です。
地方移住支援制度を利用する場合は、各自治体の要件にそって2019年〜2024年までの6年間期限付きで申請することができます。
内閣官房・内閣府総合サイト/地方創生
その他の支援金
移住後の仕事や住居関連で役立つ支援制度があります。移住費用の予算を抑える方法として、支援金制度を有効活用しましょう。
まとめ
Uターン、Iターン、Jターンを実現するためには、まずは移住の目的をハッキリさせて、移住地域の情報や求人について事前に調べることから始めましょう。
Iターン、Jターンの場合は、移住者の経験談なども参考にしたり、Uターンであれば、地元の友人などに相談するとイメージしやすくなるでしょう。
情報が集まって整理できたら実際に移住体験したり、短期滞在してみたりするのもおすすめです。