海外移住者が増える昨今、「フランス移住」「パリ移住」などを視野に入れている日本在住者も多いでしょう。
最近だと女優の杏さんが移住をしたことが話題になったり、フランス在住の芸能・有名人はとても増えています。
フランスに住み始めて4年目の筆者(30代)は、食文化を深く知るためワーキングホリデービザで南フランスへ移住しました。現在は学生ビザを取得し、ロワール川が流れる地方都市の大学に通っています。
この記事では、生活をしていくうえで分かった「フランス移住のメリット・デメリット」「フランスに合う人・合わない人」をなるべく偏見をもたずにご紹介しますので、フランス移住をお考えの方はぜひ参考にしてください!
目次
フランス移住で感じたメリット5選
それではまず、フランス移住で感じたメリットを5つご紹介します。
1.フランス語を習得しやすい
フランス移住を考える方は、少なからずフランス語学習の経験がある、もしくはフランスにまつわる何かがお好きなのではないかと思います。
フランスは移民の国でもあり、英語を話す方は多くいますが、観光地を除いて日常のコミュニケーションは必然的にフランス語です!
日本でフランス語を長く学ばれていた方でも、生のフランス語を聴き、話すことができるのでさらに上達するでしょう。
2.福祉や医療、学業へのサポートが手厚い
フランスは日本と同じく国民皆保険制度なので、外国人や学生であっても正規で3ヶ月以上滞在する人は保険加入することになります。
加入は、フランス人でも外国人でも無料です。
つぎに、フランスでは「アロカシオン=手当金」という政府からの生活補助制度があります。
学生手当、失業、家族手当など、移住者であっても申請すれば、政府から毎月補助金を受け取ることが可能です。
またフランスは、日本と比べて学費が非常に安いです。
美術系や専門学校を除くほとんどの学校は、日本の10分の1以下の学費で入学可能!
筆者は地方都市の大学に入学しましたが、学費はなんと年間180ユーロ=2~3万円でした。
社会保障制度が充実している理由は、「経済的な問題で才能がある人、やる気がある人をつぶすのはもったいない」という考えがフランスにあるからでしょう。
3.過ごしやすい気候
フランスは春や夏は晴天の日が多く、日本と異なり梅雨もなく乾燥しているため、夏はカラッと過ごしやすいのが特徴です。
秋の訪れは日本より早く、冬は曇りがちや雨の日が多くなります。
「フランス人は傘をささない…」というのも本当の話で、よほどの豪雨でなければ多くの方が丈夫なカッパ兼ウインドブレーカーを着るか、フードをかぶるくらいで外出。
それは濡れてもすぐ乾くことや、変わりやすい天候だからなのでしょうね。
4.労働時間と有給休暇
フランスでは、「労働時間は週35時間まで」と法律で決められています。
もちろん残業はありますが、割り増しされた手当はしっかりもらえるのが特徴です。
また、多くの企業に5週間の有給休暇制度があり、ほとんどの人がそれを当然の労働者権利として考え、5週間の有給休暇を取得しています。
「上司や同僚を気にして、まとまった有給休暇を取りづらいな…」なんてことはなく、みんな長い休暇をずらして取るので安心してくださいね。
仕事は仕事、ヴァカンスはヴァカンスとはっきりわけるのがフランス人の働き方です。
5.個人を尊重する
日本からフランスに移住して感じたのは、フランス社会は「個人の価値観や生き方を尊重している」ということです。
「自分の好きなことをして人生を楽しむことが一番!本人が良ければそれでいいじゃない!」といった個人主義なところがあるので、気楽に過ごせます。
フランス人が大好きな「議論」の場でも、相手の意見を理解しつつ自分の考えを伝える様子を見て、「論破することを目的としていないのだな」と気付かされました。
フランス移住で感じたデメリット5選
続いては、フランス移住で感じたデメリットを5つご紹介します。
1.デモやストライキの影響を受ける
フランスでは、電車やバスが時刻表通りに来ないのは日常茶飯事。
さらに、デモやストライキが行われることも多く、交通機関の運行が取り消しになったり、いつもの道が通行禁止になることもあります。
大事な用事がある、急いでいるときなどは、運行状況などを事前に確認したほうがよいでしょう。
また、その期間は治安も悪くなるので要注意です。
ちなみにデモやストライキがある場合は、事前にお知らせがあるので安心してくださいね!
2.お役所仕事や手続きが遅い
フランスのお役所仕事は、本当に遅いです。
また、担当者によって求めてくる書類が違うこともあり、振り回されることも多々あります。
大げさではなく、あらゆる申請から処理・受け取りまでが1~2ヶ月で完了したら上出来です。
3.治安は良くない
移住、観光問わず、フランスの治安は日本と比べものにならないくらい悪いと思って渡航しましょう。
お金を持っているであろう、いかにも隙のある観光客は特にスリに狙われやすいです。
全体的にデモ暴動もあったりと、パリだけでなくフランス全土で治安は決して良いとは言えません。
「ここは日本ではない」と意識して生活することが大事です。
4.衛生観念が異なる
これは人にもよるので、一概にフランスに住む人全員が…というわけではないですが、衛生観念・清潔さの基準は日本と比べて低いです。
例えば、
- 家によって土足で入るかが分かれる
- 一つのスポンジや布巾を多用する(食器洗いやテーブル拭き、床拭きなど)
- 飲食店やパン屋で食べ物を素手で触る
- トイレは便座がないところもあり、便座がないところもある
移住を考える方は、先進国だとしても日本と同じ衛生観念ではないことは頭にいれておきましょう!
5.病院へ行くまでのハードルが高い
フランスでは医者不足の問題もあり、あらゆる病院の予約が取りづらいです。
日本のように、「当日に行って順番待ちをしたら診察してもらえる」ことは基本的にありません。
すぐに予約がとれるところは評判がよくないところも多く、しっかり診て治療をしてもらいたいときは口コミを重視しましょう。
フランス移住が合う人の特徴5選
上記で挙げたメリット・デメリットを見ていただいたうえで、デメリット面を受け入れた生活ができるのかどうかが大きいポイントだと思います。
下記のフランス移住に合うであろう人の特徴に大体当てはまるなら、違和感をおぼえることなく移住生活が送れるでしょう。
1.フランス語を話せるようになりたい人
英語を話す方も多いですが、基本的にはフランス語を話すため、フランス語を理解することが求められます。
2.自己主張が比較的できる人
議論も日常茶飯事なフランス。
さらに、あらゆる手続きが思った通りに進まないことが多いです。
しっかりと自分の意見を言う必要性がでてきます。
3.細かいことが気にならない人
日本基準でいると、いろいろなことに対して非常に疲れてしまいます。
「郷に入れば郷に従え」と思える寛容さがあると、ストレスも軽減されるでしょう。
4.日本社会の同調圧力に不満を抱く人
フランスは日本と比較すると自由度は高いため、日本社会の同町圧力に不満を抱いている方は、フランスに移住することで生きづらさは軽くなるかもしれません。
5.フランスへの憧れが強すぎない人
一度でもフランスに旅行していれば少しは現状を知っての移住になりますが、良いイメージだけを持って渡航するとギャップを感じてしまうことも…。
フランスへの憧れが強すぎない人の方がよいかもしれません。
長くフランスに住んでいる日本人でも当てはまらない特徴はありますが、一貫して細かいことを気にしない人は多いなと感じます。
まとめ
「海外移住」と聞くと大きな決意が必要な気がしますが、あまり重く考えすぎず「長期滞在」する感覚で移り住むと足取りも軽くなるでしょう。
元々日本で生まれ育った私たちなので、フランスで骨を埋める決意も、性格などを変える必要もありません。
人間は適応していくものです。
最低限のお金は必要ですが、フランスが好きで一度はフランスで生活をしてみたいと思うのなら、フランスでの生活はいつでも始めることができます。
「移住は人生を楽しみ、充実させるための一つの選択肢だ」と考え、移住計画を立ててみましょう。