ここ数年の社会状況によって、国民の生活意識や行動の変化とともに地方への関心が高まってきています。
テレワークやオンライン学習などネット環境が整えば、地方でも仕事と生活が両立できると考えている方も多いのではないでしょうか。
内閣府の公表するデータによりますと、地方移住に関心がある人が一番気にしている点は「仕事と収入」となっています。
移住はしてみたいけれど、移住の初期費用や移住後の収入面はしっかり確保しておきたいと多くの移住希望者は考えているようです。
そこで、本記事では、地方移住の費用負担を抑える方法として「地方移住支援金制度」について紹介していきます。地方移住や起業をお考えの方におすすめの記事となります。
地方移住支援制度とは
地方移住支援制度とは、都市部から地方への移住したい人を支援する制度です。近年、在宅勤務やワーケーションなど働き方の多様化に伴い、地方移住を検討している方向けに国や地方自治体が推進しているしくみです。
制度の主な目的は、東京への一極集中を解消するためや、地方産業の後継者不足解消のため、または在宅ワーカーへの地方分散を進める等、地方創成と働き方改革を支援することを目指しています。
地方移住支援制度の種類は2つある
国が実施している地方移住支援制度は2つです。
- 移住支援金
- 起業支援金
「移住」「起業」を合わせて申請すると、支援金額は最大300万円の受給が可能です。
地方移住支援制度を利用する場合は、各自治体の要件にそって2019年〜2024年までの6年間期限付きで申請することができます。
地方移住支援制度のくわしい内容については、以下の公式ホームページより閲覧できます。
実際に移住を検討する際は、都道府県、市町村の相談窓口に問い合わせて具体的な条件について確認しましょう。なお、相談する前に移住したい地域について以下よりチェックすることができます。
移住先によって支援内容が異なりますので、ご自分の移住条件に合わせて検討しましょう。
では、続いて、移住支援金、起業支援金の要件について、それぞれ確認していきましょう。
移住支援金
移住支援金では、地域の重要な中小企業への就業や起業をする移住者を支援します。支援金は最大100万円、ただし単身で移住する場合は最大60万円受給できます。
- 東京23区在住者、または東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県より東京23区に通勤していたこと(移住前10年間で通算5年以上直前の1年以上)
- 移住支援事業を実施している県・市町村へ移住すること
- 地方の中小企業への就業、テレワークで業務継続、移住先での起業すること
- 移住支援金の申請が転入後3か月以上1年以内であること
- 申請後5年以上、継続して移住先に居住する意思があること
- 市町村ごとの独自要件に適用すること
さらにくわしい移住支援金の要件については以下より確認できます。
なお、移住支援事業を行っていない自治体もありますので移住先に合わせてチェックしましょう。
起業支援金
起業支援金では、地域の課題に取り組むために起業する移住者を支援し、起業等に必要な経費の2分の1に相当する額を支給します。支援金は最大200万円です。
- 東京圏以外の道府県、または東京圏内の ※条件不利地域で社会的事業の起業を行うこと
- 公募開始日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届または法人の設立を行うこと
- 起業する都道府県内に居住している、または居住予定であること
- 東京圏以外の道府県、または東京圏の 条件不利地域でSociety5.0関連業種等の付加価値の高い分野で社会的事業を 事業承継または第二創業により実施すること
- 公募開始日以降、補助事業期間完了日までに事業承継又は第二創業を行うこと
- 本事業を行う都道府県内に居住している、または居住予定であること
さらにくわしい起業支援金の要件については以下より確認できます。
起業支援金の交付までの流れについては、要件にそって申請すると審査期間を経て交付され、続いて法人設立や開業届、実績報告等を行い支援金受給となります。
その他の支援制度について
移住支援金と起業支援金の他に、移住者に役立つ支援制度について表にまとめておきます。
移住後の仕事や住居関連で役立つ支援制度です。
支援制度 | 支援内容 | 支援金 | 申請先 |
フラット35 地方移住支援型 | 移住支援金を受給した移住者を対象にした住宅ローン | 当初10年間分の金利を年0.3%引き下げる | 住宅金融支援機構 |
中途採用等支援助成金
(UIJターンコース) |
東京圏からの移住者を雇い入れた事業主に対して必要な経費の一部を助成する | 限度額100万円経費の合計額の2分の1または3分の1 | 厚生労働省 |
新規開業支援資金 | 起業者に新規開業資金など融資する | 7,200万円(運転資金は4,800万円) | 日本政策金融公庫(国民生活事業) |
マイホーム借り上げ制度 | 住宅を借上げまたは賃貸住宅として転貸するための支援 | 家賃収入 | 移住・住みかえ支援機構(JTI) |
地方移住支援制度を利用するメリット
では、続いて地方移住支援制度を利用するメリットについて確認しておきましょう。
- 移住費用を安く抑えることができる
- 移住先の仕事を見つけやすい
- 子育て支援が利用できる
- 住宅費用の負担が減る
- 医療や福祉の支援制度を利用できる
移住費用を安く抑えることができる
都市部から地方へ移住する際は、移住にかかる費用は気になるところですね。
移住費用は単身者または世帯人数によって、引越し費用や住居費用、地方での移動手段として自動車の購入費用など予算を考えておく必要があります。
地方移住支援制度を利用すれば最大100万円の支援金を受給できるため、移住費用の負担を大幅に抑えることができます。
移住先の仕事を見つけやすい
移住した後の生活基盤づくりのために仕事先はしっかり確保しておきたいものですね。
地方で企業をしたい人であれば、起業支援金や新規開業支援資金などの融資があれば資金調達の負担も減ります。また、中途採用等支援助成金制度ではUJIターンの転職者は採用されやすいサポート体制も整っています。
子育て支援が利用できる
小さい子どもと一緒に移住を考えている場合、移住先での子育て支援なども気になるところですね。出産祝金、おむつ購入費助成金など、子育ての負担額が軽くなる支援内容が提供されている自治体もあります。
住宅費用の負担が減る
移住先の住宅費用については、支援金があればかなり負担も軽くなりますね。自治体によっては、空き家バンクや移住者が定住した場合の住宅譲与支援など、移住先の住宅費用を抑えられるサービスが提供されている自治体もあります。
医療や福祉の支援制度を利用できる
移住先で定住を希望する場合、医療や福祉関係については事前に情報収集しておきたいものですね。子どもの医療費助成や高齢者への介護支援サービスなど、家族が安心して健康でいられるような支援制度を利用することができます。
地方移住支援制度を利用する前の準備
地方移住支援制度を利用する際は、事前の準備として以下のポイントを確認しておきましょう。
- 移住の目的をはっきりさせる
- 移住先で仕事があるかを確認しておく
- 移住先の子育て環境を確認しておく
- 移住先の気候や環境を確認しておく
- 都会と地方の違いを知っておく
- 移住体験をしてみる
- 最新情報を確認する
移住の目的をはっきりさせる
移住の目的は、移住後の生活をよりよくするためにもしっかり明確にしておきましょう。
移住後の仕事や子育てやライフスタイ等について、一緒に移住する家族とよく相談して、
移住目的に適した支援制度を利用しましょう。
移住先で仕事があるかを確認しておく
移住先の地域性や環境などが気に入ったとしても生活して行くための経済的な自立がなければ、移住しても長続きは難しくなります。
移住先の仕事については、定住を促進する求人情報を出している自治体もありますので参考にすると良いでしょう。
移住先の子育て環境を確認しておく
子ども連れで移住する場合は、子どもの年齢に合わせて、移住先の環境や地域性などを事前に調べておきましょう。
出産に関わる母子のためのサポートや、保育所・幼稚園の入園から成長に合わせた教育体制、地方ならではの子育て環境などは、移住先によって変わってきます。
移住先の気候や環境を確認しておく
今まで住んでいた場所からの変化に対応できるかどうか移住先の自然環境について調べておきましょう。
小さい子どもや高齢者が家族にいる場合は、移住後の健康管理のためにも気候や環境について確認しておきましょう。
都会と地方の違いを知っておく
都会生活と地方暮らしはそれぞれ違った魅力があります。例えば、都会ならではの商業施設や新しいサービスに対して、地方では自然豊かな環境で生活ができます。
また、地域社会との距離感は、地方の方が密接な面もあるため、移住後に後悔しないためにも、都会と地方の暮らし方の違いについて知っておくと良いでしょう。
移住体験をしてみる
実際に住んでみたら違ったとならないためにも、事前に移住体験してみるのも良いでしょう。自治体と地域企業が連携して募集している移住体験プランを利用して、移住先の暮らしを体感してみましょう
最新情報を確認する
地方移住支援制度を利用する際は、申請期間や条件などは随時更新されている場合もありますので、公式のホームページで最新の情報を確認して参考にしていきましょう。
まとめ
移住費用の負担を抑えるために、国や地方自治体が行う地方移住支援制度の利用がおすすめです。東京圏からの移住者に支援金最大100万が支給されます。
移住先ごとに提供されている移住支援制度は異なりますので、ご自分や家族が目指すライフスタイルに合わせて利用しましょう。
地方移住支援制度を利用する際は、まずは公式のホームページで内容を確認して、各自治体のホームページより、仕事、働き方、子育て、教育、住まい物件、交通機関、地域イベント、ボランティア、各種支援制度助成金など、必要な情報を集めて理想の移住ライフを目指して行きましょう。