近年、移住を考える方が増加傾向にある一方、移住先での生活に不安を持ち、なかなか行動に移せない方も多いと聞きます。
今回は、東京から五島列島の五島市に移住した羽舞 咲さんに、もともと数年来の旧知の仲である「移住.net」早川社長からインタビューさせて頂きました。
「五島に移住したことで価値観が大きく変わった」と話す羽舞さん。
実際に移住して感じたことや移住のメリット・デメリットなどは、移住を考えている方にとって非常に参考になるのではないでしょうか。
ぜひ最後までご覧ください。
羽舞咲(はぶえみ)
福岡県出身。横浜国立大学教育学部卒業。
東京では、大手IT企業で企画の仕事をするいわゆるバリキャリの生活をしてた時期もありましたが、過労で倒れたことをきっかけにライフスタイルを見直し、本当にやりたかったモデルの仕事に転身。そのかたわら、フィリピン・セブ島での語学学校運営など海外でも活動。
2021年に五島列島に移住してから、1週間で、五島生まれ五島育ちの夫(牛・米農家)と出会い、結婚2年目。現在は、ラジオパーソナリティや商品開発、リトリート開催など、得意を生かした活動をしつつ、「自由」×「豊か」を楽しむ自然派ライフを実践中です。
早川諒(はやかわりょう)
「移住.net」運営会社、株式会社SoWiLL代表取締役。22歳で東証プライム上場企業に入社し、27歳で同社子会社社長に就任。
30歳で自己資本でセブ島で起業して、「0円留学」という留学スタイルの英語学校を設立し運営。4000名以上の卒業生を輩出する。
2020年より沖縄に移住して、現在沖縄に住居を持ちながら海外・国内の各地で事業展開中。
2023年、兼ねてより運営してきた移住.netの仕組みをプラットフォーム化して事業化。当移住メディアの運営もプロデュースする。
2023年4月、著書「最強のひと言」を出版。
1. 五島列島の魅力は?
早川:咲さん、本日はよろしくお願いします!まずは読者の方に向けて自己紹介をお願いします。
羽舞さん:こんにちは!羽舞咲です。私は、福岡県で生まれ、人生の半分以上を東京で暮らし、大学卒業後は、金融・IT業界で企画の仕事をしていました。
しかし、仕事を頑張りすぎて体を壊してしまい… 一年半ほど休養するなかで「モデルになりたい」というずっと抑えていた気持ちが湧き上がってきたんです。その後、ベストジーニスト一般新人部門というコンテストを経て、モデル事務所に所属しました。現在も広告モデルの仕事を続けています。
早川:その後、海外でも活動をされていらっしゃいましたよね?
羽舞さん:はい。海外にも興味を持つようになり、早川さんと出会うきっかけにもなったフィリピンのセブ島では、英語留学学校の運営経験もあります。
今は、長崎県の五島列島にある五島市に移住をして2年3ヶ月が経ったところです。(2023年7月現在)
早川:移住先の五島列島の魅力をぜひ教えて下さい。
羽舞さん:魅力はとても多いんですが、やはり自然が豊かなことですね。五島に来て「何もない」と感じる人もいますが、私は「余計なものがない」と感じています。
たとえば、雑音がない分、自分の心の声が聞こえやすく、自分らしくいられるようになったと思います。あとは地震の心配がほぼないので、環境的な安心感も大きいです。
早川:東京では「雑音がない」というのは、なかなか得られない環境ですね。
羽舞さん:そうなんですよね。東京は情報もサービスも溢れていて、便利ではあるんですが、実はなくてもいいものも多かったんだなと。五島には、電車も映画館もUber Eatsもありませんが、「十分便利だな」という感覚があります。
2. 五島列島に移住したきっかけ
早川:そもそも五島列島に移住したきっかけは、何だったんですか?
羽舞さん:2020年、パンデミックでずっと1人で家にいる生活が続いている時期「私、東京にいる必要があるのかな?」と思い始めました。そんな頃、お仕事で沖縄へ行くことがあり、沖縄のリゾートホテルでのワーケーションが非常に良かったんです。
「こんな自然豊かで素敵な環境で暮らしながら、お仕事することもできたら最高だなぁ」と思いながら東京に帰りました。
その後、インターネットで、五島列島にあるシェアハウスのコミュニティーマネージャー募集という記事を見つけ、気付いたら応募していました。
早川:「これだ!」と思ったんですね。
羽舞さん:はい!応募は多かったようですが、オンライン面接を経て「ぜひ、咲さんにお願いします」と言っていただき、移住することになりました。
早川:そのときは五島列島以外にも、候補地はあったんですか?
羽舞さん:実は、ニュージーランドに住もうと本気で考えていました。
早川:確かにニュージーランドも雑音がなく、自然が豊かという面で五島列島と近しいところがあるかもしれないですね。
羽舞さん:そうですね。当時、女性は年齢を重ねるほど価値が下がるといった、日本ならではの価値観になじめなくて…。
ニュージーランドでは、女性のアーダーン首相が、結婚、出産、育児をしながらも、パンデミックの中、国民の安全を第一に考えて行動する姿や、差別や偏見に断固として対処する姿に、私も大いに共感し「そんな世界で生きたい」と思ったのが移住を考えたきっかけですね。
3. 五島列島に移住して感じたこと
早川:実際に五島列島に住んでみてどんな印象を持ちましたか?
羽舞さん:五島市は年々移住者が増えているので、地元の方にとって、移住者は珍しくなく、新しい人が来ることにも好意的で、すぐに受け入れてくれました。
東京だと、隣人も知らないような生活だったのに、ここでは一度会っただけでも、街で見かけたら「咲さーん」と手を振ってくれたり。そんな日常に驚きつつも、人間らしい温かさを感じましたね。
早川:離島生活ということで、生活面での不便さはありませんでしたか?
羽舞さん:私も不便なのではないかと思っていて、移住する際にいろいろなものを買って持っていきました。でも、中心地にはコンビニもドラッグストアもあるんです。自然いっぱいの場所ですが、中心地は便利で、困ることはありませんでしたね。
早川:どうしても田舎で自然が豊かな分、生活は少し不便になるのではないかという心配はあると思いますが、その心配がないのは良いですね。
羽舞さん:そうですね。WiFi環境が整っているカフェや、飲食店、スーパーマーケット、空港、港、市役所などが、便利な中心地に集まっていて、あとは東西南北にきれいな自然が広がっているといった、バランスの良さも五島の魅力だなと思います。
早川:ちなみに飛行機や船は、どこに繋がっているんですか?
羽舞さん:福岡と長崎に繋がっていて、どちらも飛行機で30分程度です。長崎とは、船が行き来していて、ジェットフォイルで約1時間半、フェリーで約3時間程度です。
五島に来てから、東京は意外と不便だったと気付いてしまいました。東京だと羽田空港に行くまでに、電車やリムジンバスで1時間程度かかっていたのが、今は空港や港まで車で10分で行けるので。
4. 五島列島での生活について
早川:お食事などは、基本的に自炊ですか?
羽舞さん:シェアハウスに住んでいた頃は、メンバーと一緒にホームパーティーをすることが多かったです。スーパーで買ったお刺身が、驚くほどおいしいんですよ。
旬の野菜も、無農薬で作られたものをお裾分けいただいて、サラダにしたり、五島の場合は、新鮮さや素材そのものの美味しさに恵まれているので、家で食べるご飯が本当においしいです。
早川:移住する場合、家賃の相場が気になると思いますが、いかがですか?
羽舞さん:家賃は都心と比較すると非常に安いです。古民家のような平屋の一軒家が多いんですが、駐車場・庭・畑付きで大体3~4万円程度で借りられるところもあります。
中には、家族3人で住む一軒家を5千円で借りて、BBQや野菜作りを楽しんでいる方もいたり、広い家に安く住めるのは魅力だと思います。
早川:今、咲さんはどんなお家に住んでいるんですか?
羽舞さん:今は夫の実家に住んでいます。東京にいる頃は家を持ちたいなんて思わなかったのですが、五島にいると友人が遊びに来てくれることが多くなってきて。
大きな家があれば「うちに泊まって」と言えるのにと思うようになり… これから実現していきたいと思っています。
早川:旦那さんは、生まれも育ちも五島の方なんですか?
羽舞さん:そうなんです。生まれも育ちも五島で、家業である五島牛の繁殖農家と米農家を継いでいます。
早川:お米もお肉もおいしそうですね。
羽舞さん:おいしいです!気づくと、毎日、無農薬のお米や野菜を食べているなぁと。そのおかげもあって、心身ともに健康になった実感があります。
生きるうえで、やはり食というのは大事。心の健康にも食べ物は影響しているなと思います。
5. 五島列島の移住の現状
早川:五島への移住に興味があっても、仕事面を気にされる方も多いと思いますが、移住者もすぐに働けるお仕事などはありますか?
羽舞さん:あります。素敵なリゾートホテルでもスタッフを募集していますし、島内のさまざまな企業でも、特に都会での経験がある人は力を発揮できると思います。
看護師や介護士など資格のある人も求められています。
支援金の制度もいろいろあるので、宿泊施設や、カフェ、バーなどをオープンするケースも多いです。私たちもそういった新しい場がオープンすると、集う場ができることもあり、嬉しいんですよね。五島はそういったチャレンジもしやすいところだと思います。
早川:普通に都会でバーをオープンするよりも家賃もお安いでしょうし、リスクも少ないですもんね。
羽舞さん:ですね。最近は、ジェラート、ガレット、パン、などの専門店が続々とオープンしているんですが、どのお店もとてもオシャレな空間で、クオリティが高く、すべて移住者がオーナーですね。
早川:勤務先を探すだけではなく、自分でチャレンジをする、起業をする、そういったことの第一歩としても非常に良い場所ですね。
羽舞さん:はい。島の人々は、チャレンジしている人を純粋に応援する気持ちがあるんですよね。なので、きっと応援されつつ、成長していけると思います。
早川:咲さん自身は、モデルやラジオの仕事も、移住後も問題なく継続されているんですか?
羽舞さん:そうですね。モデルのお仕事は、通常は、オーディションがあり、そこで選ばれて決まっていくんですが、長くやっていることもあり、現在は指名いただいたお仕事を受ける形にさせてもらっています。
なので、呼ばれたら東京に行くという感じです。ラジオは週に1回、五島にいながらリモートで収録しています。
早川:では、モデルもラジオの活動もほぼ支障なく行えているということですね。
羽舞さん:そうなんです。「仕事はそのまま、好きな場所に住んでみよう」というのがチャレンジだったんですが、実現できているんじゃないかな?
これはもう「やってみた」という感じですね。どうなるか分からなかったけれども…。
早川:そうですよね。立ち止まっていたら出来なかったかもしれませんよね。「できるのではないか」と一歩を踏み出したからこそ、今があるということですもんね。
羽舞さん:そうですね。やはりこういったライフスタイルに変わったからこそ、声をかけていただくお仕事も増えてきたので、お仕事もプライベートもすべてが良い方向に動いているのではないかなと感じます。
6. 移住を考えている方へのアドバイス
早川:では、これから五島列島に移住を考えている人に、アドバイスをお願いします。
羽舞さん:「移住したい」という気持ちはあっても「あれも心配、これも心配」「うまくいかなかったらどうしよう」と考え過ぎている人も結構多いかなと思います。
まずは気になる場所に行ってみて「いいな」と思ったら、1週間、1ヶ月暮らしてみるくらいの軽さがあってもいいのではないかな、と。
私の場合は「まずは1年暮らしてみよう」という気持ちで五島に来ました。結果的に人や場との相性が良く、世界も広げながら3年目を過ごしています。でも、もし合わなかったら、一度実家に帰ろうと思っていました。
そのうち、きっとまた好きな場所が見つかりますからね。「気になったら行ってみる」というのは、とても大事なアクションだと思いますね。
早川:永住するかしないか、といった極端な選択ではなく、まずは気軽に行くというのは、大切ですよね。では、最後に咲さんが今、読者の皆さんに紹介したいことがあればお願いします。
羽舞さん:ありがとうございます。
私は、毎週水曜日に放送される「羽舞咲のゆるゆるビューティ研究所」というラジオ番組を持っており、スタートして4年目になります。
番組では、リスナーさんからのご質問にお答えしたり、ゆるっと生きるコツなどをアシスタントさんと一緒にお伝えしています。放送後すぐにYouTubeにもアップされますので、ぜひ聴いてもらえたら嬉しいです。
また、今年から、私が五島で毎日食べている、無農薬のおいしいお米を全国の方々にもお届けできるようオンライン販売をスタートしました!すでに多くの方々から『感動』『驚き』『幸せ』の声をいただいており、読者の皆さんにもぜひ五島の極上米を味わっていただきたいです。
最後に、年に数回『五島列島リトリート』を開催しています。
古民家を改修した素敵な一軒家ゲストハウスを貸し切って、お庭でライブをしたり、焚き火をしたり、バーベキューを楽しんだり、自分に向き合ったり、それぞれの素敵な時間を皆さんと過ごせたらなと思っていますので、ぜひ参加してみてください。
今後Instagramで詳細はお知らせします。
>>https://www.instagram.com/herbemi/
早川:ありがとうございます。皆さん、ぜひチェックしてみてください!