地方移住したいと思っても、いきなり馴染みがない地域に移り住むのは不安が大きいもの。
実際に生活してみないとわからないことがたくさんあります。
そこで、注目されているのが「お試し移住」。
完全移住の前に短期〜長期で体験・滞在することで、移住後の生活のイメージを掴むことができます。
この記事では、お試し移住の方法や利用できる制度などについて解説します。
お試し移住とは?どんなことをする?
お試し移住とは、地方移住の準備段階でお試しで滞在することです。
地方移住を考えている方を対象とした相談会だけでなく、今ではインターネットで調べれば様々な情報を収集することができます。
オンラインセミナーなども充実しており、実際に足を運ばなくとも様々な情報が得られますよね。
とはいえ、気候や買い物環境、水や食べ物、交通機関の使い勝手、子供関係の施設、住んでいる人の雰囲気など、生活を体験してみないと実感できないことは意外とたくさんあります。
お試し移住は、実際にその土地で生活を体験することで移住後の生活をシミュレーションすることを目的としています。
そのため、4日以上滞在するのがおすすめです。
可能であれば夏と冬など季節を分け、平日と週末を含む日程を設定するとよいでしょう。
お試し移住で行うことの一例
「地元に近いし、何度も帰省している」「旅行で何日か行ったことがある」という理由でお試し移住は不要、と思う方もいるかもしれません。
しかし慣れ親しんだ実家や、非日常の空間である観光地のホテルなどに滞在するだけではシミュレーションは不十分でしょう。
お試し移住で行うとよい一例は、次のようなものが挙げられます。
- 移住体験ツアーに参加する、移住者が集まるイベントやお店に行く
- 平日の朝、ベッドタウンから中心街の方向へ電車・バス・車などで行く
- 土日の午後、地元のショッピングセンターや大型スーパーで買い物をする
- 真冬の夜と朝の冷え込みを体験する
- 保育園や学校、児童センターなどの場所や周辺環境を確認する
- 役所や図書館、銀行、郵便局などを訪れる
- レンタサイクルなどを活用して街中を見て回る
その土地に暮らすとしたらどんなものが必要か、どういった場所に行くか、想定しながら滞在することが重要です。
お試し移住で活用したい仕組みや制度
地方移住を考えている方に向けて、自治体でも民間施設と協力して様々な取り組みを行っています。
上手く活用すれば、お得に移住体験をすることも可能です。
ここでは、お試し移住をする際に活用したい仕組みや制度をご紹介します。
自治体のお試し住宅・体験施設
各自治体には、移住体験を目的とした宿泊施設を用意している場合があります。
形態はシェアハウス、一戸建て、アパートなど様々で、中には広くて立派な古民家を格安で借りられたり、ほぼ無料で滞在できたりするものも。
利用可能な期間も1泊から、または1ヶ月や1年単位など自治体によって異なります。
移住先候補地にこういったお試し住宅や体験施設があれば、利用方法を確認して上手に活用しましょう。
多くの場合は2週間ほど前から予約が必要となるので、計画的な利用をおすすめします。
自治体の滞在費や交通費の補助
地域の民間の旅館やホテルなどを利用して移住体験をする場合に、交通費や宿泊費、レンタカー代などの補助が受けられる制度もあります。
制度を活用するには、事前の利用者登録や申請、視察行程の計画書の提出、事後の領収書の提出などが必要です。
また、年末年始や年度末など利用対象外の期間が設けられている場合もあるため、前もって利用条件を確認しましょう。
民間の宿泊施設・ゲストハウス
旅行がてら数日間滞在する場合は、民間の施設を利用するのが手軽です。
地域密着のゲストハウスや農家民宿のような施設では、地域の人や利用者との交流、オーナーさんに暮らしの様子について聞くことなどを通して地域への理解を深められる場合があります。
施設周辺のおすすめスポットを紹介していることも多いので、積極的に聞いてみてはいかがでしょうか。
また、簡易的なキッチンがあり自炊ができる施設であれば、スーパーや市場などで買ってきた食材を調理するといった生活の体験も可能です。
山村留学、保育園留学®︎
保育園や小中学校に通うお子さんと一緒に子育て・教育環境を体験したいという方に注目されているのが「山村留学」や「保育園留学®︎」といった制度です。
1〜2週間などの短期、または1年単位で、地域の園や学校で過ごすことができます。
受け入れ先地域の教育委員会や仲介事業者といったコーディネーターが、施設との調整や滞在場所の紹介などを行います。
※保育園留学®︎は(株)キッチハイクの登録商標です。
住み込みで働く
地域で働きながら生活を体験することも選択肢の一つです。
就業・滞在先を紹介している仕組みとして「ふるさとワーキングホリデー」、「おてつたび」、「WWOOF」などがあります。
また、宿泊施設や農家などの繁忙期に住み込みで働く「リゾートバイト」という選択肢もあるでしょう。
月額制(サブスクリプション)滞在サービス
いくつかの地域に滞在して比較したい場合、月額制で全国の様々な拠点に宿泊できるサービスを活用するのもおすすめです。
一例としては一軒家が豊富な「ADDress」、高級ホテルにも泊まれる「HafH」などがあります。
料金プランは利用日数などに応じて月額1万円前後からさまざまなバリエーションがあります。
各自治体のお試し用施設・支援制度一例
ここでは、各自治体のお試し用施設や支援制度の一例をご紹介します。
佐賀県鹿島市の移住体験施設
鹿島市では、立派な茅葺き屋根の家「旧筒井家住宅」にお試し滞在することができます。
料金は一棟貸しで1泊1,500円(光熱水費込み)。
外観は伝統的な古民家ですがリフォームされており、エアコンやIHキッチンといった設備が揃っているので快適に過ごせます。
山形県の「やまがたお試しテレワーク移住」
山形県に移住を検討していて、テレワークをしながら滞在する際に補助が受けられます(4泊5日以上の滞在が必要)。
補助対象は交通費、宿泊費、コワーキングスペース利用料金など幅広く、最大5万円の手厚いサポートとなっています。
北海道厚沢部町の「保育園留学®︎」
自然の中でのびのびと過ごせる認定こども園「はぜる」にて、園生活を1〜2週間体験できます。
宿泊先として移住体験住宅を提供。
Wi-Fi環境が整っているので、リモートで仕事をすることもできます。
価格の一例として、体験+宿泊料金で10万円前後となっています(条件により変動)。
山梨県早川町の「親子山村留学」
人口900人ほどの山村にある小中学校で、1年単位で通学できる制度です。
通学時は、親子で住民票を異動します。
私物以外の学校教育費用(給食費、修学旅行費など)は全て無料。
住まいは、町営住宅や空き家物件等を紹介しています。
まとめ
ご紹介した通り、地方移住の大切なステップの一つであるお試し移住や現地体験の方法がたくさんあります。
ご自身や家族にとっての幸せな移住が叶うように、皆さんのスタイルに合ったお試し移住の制度やサービスを上手に活用してくださいね。