宮崎に移住し、早20年超。
東京の下町で育った私が居を移した理由は、決して自発的だったわけでも積極的だったわけでもありません。
当時お付き合いしていた彼女の故郷であり、訳あって帰郷しなければならなくなった彼女に引っ張られてきただけだからです。
身寄りは彼女だけ、土地勘も仕事も無い、方言が強くて喋っている内容が分からない、夜は暗くて虫は大きい…
この場所で生活を営んでいけるのかと最初は不安だらけでしたが、県民の人柄の良さに助けられてこれまで一丁前に生きてこられました。
当時はシティボーイ、今では芋焼酎が手放せなくなった中年の私が、出身地である東京と比較しながら、宮崎のリアルについてお伝えします。
目次
宮崎移住のメリット5選
みなさんのもつ宮崎のイメージは、どのようなものでしょうか。
ここでは、宮崎移住にプラスとなるポイントについてまとめました。
物価の安さ
全国平均を100.0とした消費者物価地域差指数では、東京が104.5で最も高く、宮崎は96.2と最も低くなっています。
消費者物価地域差指数とは、数値が低いと物価が安い評価となる指標です。
生産額ベースの食料自給率は全国1位で、スーパーなどで売られている農畜産物は地元産が中心です。
輸送に時間がかからないため、朝どれの新鮮な食料を安価に手に入れることができます。
住居費も同様に安価です。
東京の月極駐車場よりも安い単身賃貸物件が沢山あります。
同じ間取りで比較すると1/2~1/3程度の家賃です。
それ以外の物価も家計に優しいですよ。
参照元:消費者物価地域差指数-小売物価統計調査(構造編)2021年(令和3年)結果-|総務省
温暖な気候と豊かな自然
宮崎のキャッチフレーズは「日本のひなた宮崎県」。
平均気温は17.7℃で全国3位、日照時間は2,122時間で全国6位と穏やかな気候です。
夏には太陽の力強さで肌がジリジリと焼かれるようですが、それでも過ごしやすいのは湿度が高くないからでしょう。
冬には簡易的な防寒が必要にはなりますが、晴れた日の車内では暖房をつける必要がないほどです。
県内のサラリーマンはビジネスコートを持っていないことが多く、県外への出張時には寒さで凍えることも。
雪は平野部ではほぼ降らず、積もることもありません。
たまに雪が降ると大人も子どもも大はしゃぎするほど雪は珍しい存在です。
参照元:みやざき県庁キッズサイト
食べ物が美味しい
宮崎には、ご当地グルメがたくさんあります。
まずは最もメジャーな「チキン南蛮」。
ジューシーなもも肉派とあっさりなむね肉派に分かれ覇権を競っていますが、どちらも味わい深くそれぞれの良さがあります。
専門店や居酒屋では、自家製で甘酢やタルタルソースを作っていて、お店ごとに特徴のある個性豊かな味を堪能できますよ。
次に「冷や汁」はいかがでしょう。「猫まんま」ではありませんよ。
いりこや乾燥させたアジなどの魚に味噌とゴマを加えて、すり鉢ですりおろしてと意外に手間がかかりますが、野菜や薬味を乗せて食べると口いっぱいに清涼感が広がり、暑さで食欲のなくなる真夏でもサラサラと食べられます。
当時の県知事によるトップセールスで有名になった「地鶏の炭火焼」や「マンゴー」。
宮崎市にある一平寿司の店主が、友達で常連客でもあった作曲家・平尾昌晃さんの野菜嫌いを心配して考案した「レタス巻き」も絶品です。
その他にも、延岡市発祥で食料メーカー各社のレトルト麺で販売もされている「辛麺」、ふるさと納税で大人気の「牛、豚、鶏」、近海一本釣りの水揚げ量全国1位の「カツオ」、温暖な気候で育つ柑橘類の「日向夏」「へべす」、などの魅力ある食べ物が揃っています。
参照元:九州旅ネット
のんびりと生活ができる
都会の喧騒とはかけ離れた、温暖な気候と自然溢れるなかでの生活は、過度のストレスとは無縁と言えるでしょう。
県民性は穏やかでおおらかです。県民が口癖のように使用する「てげてげでいっちゃが」=「そんなに頑張らなくても、適当にやっとけばいいんだよ」との方言にある通り、物事を大袈裟には捉えずに達観した感があります。
また、「日向時間」と言われる県民独特の時間感覚があります。
決してビジネス向きではありませんが、約束や待ち合わせの時間にはルーズな面があり、南国にありがちな気質と言えるでしょう。
移住に関しては、九州の他県に比べて宮崎県では移住者をよそ者扱いしませんので、県民との壁を感じずに生活をスタートできます。
すぐにコミュニティの中に溶け込むことができるでしょう。
子育てにおいては正解はありませんが、自然に触れながら成長していくことで、情緒の豊かさや健康で丈夫な体を作ることができます。
「いい子どもが育つ」都道府県ランキングで全国1位を獲得したこともあります。
参照元:宮崎県移住・UIJターン情報サイト あったか宮崎ひなた暮らし
スポーツが盛ん
温暖な気候の元、サーフィンやトライアスロンの国際大会が開かれています。
サーフィンに関しては年中楽しめる環境に魅力を感じて、海の近くへと移住する人も多くみられます。
ゴルフは、早朝のグリーンは凍っているものの真冬でもプレー可能です。
男女プロの試合が毎年3大会開催されており豪快なプレーを見せてくれます。
オフシーズンには野球やサッカーのプロチームがキャンプを張ります。
野球の「侍JAPAN」やラグビーの「桜戦士」といったナショナルチームが合宿をして、士気を高めて国際大会に向かっていきます。
学生や社会人向けのスポーツ合宿誘致や、スポーツに関連したインバウンド誘致にも積極的です。
アジア各国に向けてゴルフやサーフィンを積極PRしています。
宮崎移住のデメリット4選
次に、移住にはマイナスとなるかもしれないポイントについてまとめました。
公共交通機関の未発達
宮崎県は、完全な車社会です。
鉄道はJR、路線バスは地元企業の宮崎交通がありますが、30分や1時間に一本のダイヤが普通となっています。
そのため普段の利用者は高齢者や学生など、自動車免許を所有していない人に限られます。
都市圏からの観光客が利用すると、待ち時間の長さに閉口するかもしれません。
自動車の有無で生活の利便性に大きな差が出るでしょう。
自然の驚異
夏には台風の襲来で被害が出ることがあります。
以前に比べ直撃は減っていますが、南方で発達した勢いのまま通過していきますので、猛烈な雨と風に見舞われ、建物や農作物に影響がでることも。
また、今後起きると予想されている南海トラフ地震。
太平洋に面していることもあり、実際に起きた場合には揺れとその後の津波によって、人や建物、ライフラインに大きな損害が出ると予想されています。
参照元:県における南海トラフ巨大地震等に伴う被害想定について|宮崎県ホームページ
娯楽の少なさ
東京に比べると娯楽施設は格段に少ないです。
もしかすると刺激を求める若者は、生活が物足りなくなるかもしれません。
高校や大学までを宮崎で過ごした若者が、県外での就職を求めて流出しており、県としてそれを抑制し人口減少に歯止めをかけるため、県内企業と連携し囲い込み策を実施しています。
参照元:産業人材の確保、若者の県外流出防止のための取組|みやざき文化振興課
賃金の安さ
2023年10月から最低賃金が897円になりました。
全国40位タイ、1位東京との差は実に216円になります。
平均年収も応じて全国下位にあります。有効求人倍率は1.4倍と職が無いわけではなく、特に「金融」「製造」の業種では人手不足が顕著になっています。
物価も低いため、一概に生活水準に問題があるわけではありませんが、金銭的な報酬を第一に求める人には向いていないかもしれません。
参照元:【2023年度最新版】全国最低賃金一覧 & 全国ランキング|ジョブメドレー
・宮崎労働局
宮崎移住の支援サポート
ここまで、宮崎県移住へのプラス面とマイナス面についてお伝えしてきました。
県では人口減少を危惧し、地域経済を活性化する目的として、移住に関する様々なサポートをしています。
支援金事業では、東京圏、名古屋圏、大阪圏、福岡県から宮崎県内の市町村に移住し、所定の要件を満たした場合に移住支援金を支給しています。
世帯で移住を行った場合は100万円、単身での場合は60万円が支給されます。
県庁所在地である宮崎市には「宮崎ひなた暮らしUIJターンセンター」が設置されていて、移住前から移住後までの様々な相談に対応しています。
詳しくは情報サイト「宮崎県移住・UIJターン情報サイト あったか宮崎ひなた暮らし」をご覧になってください。
なかでも都城市では、独自の支援策を打ち出しています。
要件を満たし中山間地域に転入した場合には、単身200万円、世帯300万円、子ども1人当たり加算100万円が支給されます。
お試し滞在制度として、移住を目的として滞在する人に、宿泊費やレンタカー代の一部を補助しています。
詳しくは「宮崎県都城市公式ホームページ」をご覧ください。
参照元:宮崎県移住支援金制度|宮崎県移住・UIJターン情報サイト あったか宮崎ひなた暮らし
宮崎移住におすすめの都市3選
ここからは、実際に移住を考えたときにターゲットとして欲しい、おすすめ都市にについてお伝えします。
宮崎市
県の中央部、宮崎平野の南端に位置する宮崎市、県庁所在地であり県人口の4割が暮らしています。
市の中心地からほど近くに宮崎空港がありますので、全国主要都市から飛行機でのアクセスが容易です。
複合施設が複数あり遊び場も多く、若者で賑わっています。
自宅から通勤や通学にかかる時間の平均が19分と全国で最も短いことはお寝坊さんに魅力的でしょう。
参照元:宮崎市移住センターホームページ
都城市
県の南西部、都城盆地に位置する都城市は、県で2番目に人口の多い地域です。
産業は食肉や乳製品、お茶などの食品関連産業が盛んで、企業では焼酎製造の「霧島酒造」が有名です。芋焼酎を全国区にした立役者といえるでしょう。
また、ふるさと納税受入額ナンバーワン自治体に何度も輝いており、寄付金を街づくりや子育て、福祉などに活用し、暮らしやすい街を目指しています。
参照元:都城市公式ホームページ
延岡市
県の北部、大分県との県境に位置し、九州では2番目に広い面積を有しています。
産業は商工農林漁業が均衡しています。
企業ではサランラップの「旭化成」が有名で、県内でもっとも多くの雇用者を生み出しています。
海あり山あり川ありの自然と調和している土地で、レジャーやアウトドアスポーツを楽しみながらの暮らしを営むことができますよ。
参照元:おいでよノベオカ|延岡市公式ホームページ
・誰もがうらやむ宝石箱のような都市 宮崎県延岡市|一般社団法人 移住交流推進機構
ここまで3都市についてお伝えしてきましたが、インターネットの発達した現在では、都会でなくても仕事ができる環境が整ってきています。
県では、UIJターン者向け求人サイトである「ふるさと宮崎人材バンク」や、40歳未満の方を対象にした「ヤングJOBサポート」で、就職関連の情報や紹介などの、様々なサービスを提供していますので、一度サイトをのぞいてみてください。
百聞は一見にしかず。各自治体の補助金を活用しながら、気軽にお手軽にお目当ての自治体に滞在してみるのも良いかもしれませんよ。
まとめ
これまで東京との比較を交えながら宮崎をご紹介してきました。
私は冒頭で引っ張られた彼女ときちんと結婚し、子ども2人とともに宮崎ライフを楽しんでいます。
豊かな自然と温暖な気候、美味しい食べ物、そして人の温かさが魅力的な街でのんびりと暮らしませんか。
宮崎は移住を検討されている方にとって、最適な選択肢の一つになるはずです。
ぜひ参考にしてください。