TOPみんなの移住体験談小笠原諸島の父島に半年移住!私が体験した島移住のメリット・デメリット

    小笠原諸島の父島に半年移住!私が体験した島移住のメリット・デメリット

    私は野生動物保護関係の仕事で、小笠原諸島の父島に半年ほど住んだことがあります。

    本記事では父島での体験や、島移住のメリット・デメリットについてまとめました。

    島移住を検討している方の参考になれば幸いです。

    長い船旅-1週間に1便しかない「おがさわら丸」-

    東京 竹芝桟橋から朝10時におがさわら丸に乗り、小笠原・父島に着くのは翌日昼前。
    国内ではどこよりも遠い船旅です。

    船が東京湾を離れると、携帯電話の電波もなくなり(2007年当時、現在もWi-Fi環境は整っていないようです)、ビールを片手に海を眺めるか、ひたすら寝るか、おしゃべりするか…。「さて島に着くまでどうやって過ごそうか…」と考えました。

    食事に関しては、船内にはレストランがあり、そこまでのクオリティを求めなければ困りません。

    私は比較的船酔いしにくかったのが幸いでした。
    丸1日逃げる場所もなく、船に弱い人にとっては、酔い止めを飲んでいたとしても地獄のような時間でしょう。

    東京湾外に出ると、広い広い太平洋!海況が良くても波が結構高く、船が揺れるので慣れるまで落ち着きません。
    天気が良ければ、伊豆諸島の島陰を遠くに眺めることができます。

    ここまで長時間波に揺られているのは初めてで、非日常な経験でした。

    島の人たちの盛大な出迎えと見送り

    おがさわら丸が父島に近づくと、島の人々の盛大なお出迎えに驚きました。
    宿の送迎、島で盛んなフラダンスの衣装を着て手を振る華やかな女性、横断幕を掲げている人たち。

    週に一度の船の入港日には、大勢の観光客、帰島した島民の人々と一緒に、たくさんの物資や郵便物が入ってきます。
    島の1週間の中で、最も賑わい、活気づく日なのでしょう。

    東京に戻る船が出航するのは、入港日から3日後です。
    入港日に来島した観光客は、ほとんどの人が一斉に帰ります。
    おがさわら丸の出港日にも、大勢の島民が見送りに来ていました。

    驚いたのは、ダイビングショップなどの人たちが、自前のボートに乗り込み、目一杯手を振りながら、おがさわら丸を追いかけてくることです。
    湾を出る手前まで着いてきて、最後は「また来いよー!」と叫び、海へ次々にダイブ!
    「見送りダイブ」といって、父島の名物だそうです。

    ここまで別れを惜しんでもらえると、また来たくなりそうですね。

    島の履き物「ぎょさん」

    沖縄と同じくらい暖かい父島。多くの島人が日常的に履いているのが「ぎょさん」です。
    ビーチサンダルのような形ですが、素材は「便所スリッパ」のよう。

    元々は漁業従事者用の頑丈な履き物だったそうで、島の商店には必ず置いてあります。
    ビーサンと違うのは、とにかく丈夫で壊れにくく、滑り止めが効いていて、岩場なども滑りにくいこと。

    私も来島してから勧められて、すぐにぎょさんを入手。
    快適で、もうスニーカーには戻れなくなりました。

    村役場の人もぎょさんを履いていて、ビックリ。
    「公務員なのに?」と驚きますが、そこは島のおおらかさなのでしょう。

    困るのは、同じ色や形の履き物だらけになるということ。
    ぎょさんを脱いで上がる店などは、帰りに他人のぎょさんを間違えて履いて帰るということが多発してしまいます。

    おがさわら丸入港日前日には店に食品がなくなる・・

    小笠原諸島には、航空便がありません。
    野菜や果物は多少栽培されているものの、島の暮らしに必要な食料品や生活用品のほとんどは、おがさわら丸で週1回運ばれてきます。

    入港日前日には、毎週のように食料品が品薄になります。
    牛乳や生肉、島で採れない野菜などは全て売り切れ。「要るものは入港日にまとめ買いするんだよ」と教わりました。

    万が一、食料品が入ってこない事態に備え、缶詰などある程度の備蓄は必須です。
    また輸送費が乗っているため、東京より物価は高めでした。

    衣料品も最低限のものしか売っていません。おしゃれをしたい人は、皆ネット通販で服を買っているようでした。
    それでも注文してから運ばれてくるまでに随分と日数がかかってしまいます。

    住民の入れ替わりが多い島

    父島は元々住んでいる島民よりも、外部から入ってきた人が多いです。
    教員や各省庁の職員の人たちは、2~3年の任期を終えると、また本土へ戻っていきます。
    世界遺産の島ということで、動植物研究者の滞在も多かったです。

    日本の田舎にありがちな、いわゆる「村社会」といった閉鎖的な環境ではなく、外から来た人も違和感なく受け入れられる雰囲気がありました。

    自然と生き物の宝庫-島からイルカやクジラが見られる―

    歩いていけるところに砂浜があり、シュノーケリングで少し潜れば珊瑚礁や鮮やかな熱帯の魚に出会えます。ボディーボードやサーフィンも楽しめました。

    父島の港周辺は観光地化されていますが、森に入れば、アカガシラカラスバト、オガサワラオオコウモリといった、父島にしか生息していない固有の動物たちに出会えます。(ガイドや研究者の同行が必須)

    ウェザーステーションという海が見える島の展望台からは、ザトウクジラの潮吹きが普通にみられます。
    居ながらにしてホエールウォッチングができるなんて、なんと贅沢なことでしょう。

    自然や海、山、両方の魅力を日常的に感じられる場所だと思いました。

    住んでみた感じたメリット、デメリット

    小笠原はすぐに行けるアクセスの良い場所ではないため、とにかく秘境、非日常感を強く感じました。
    あくせくと働く人は少なく、沖縄と似てのんびりしているのがおおらかで良いところだと思います。

    出歩いていても顔見知りが多いので、都会のような警戒感がなく、気持ちが緩むのが大きいのかもしれません。
    とはいえ、本土から来る人が多いので、時間などは比較的きっちりとしている感じでした。

    家賃や物価は決して安くないですが、娯楽が少なく、物欲が湧かないので、無駄遣いをすることはありませんでした。
    移住者や短期の滞在者が多いため、外から来た人に親切で温かく迎え入れてもらえたのが嬉しかったです。

    一方、都市部にしか住んだことがない人であれば、やはり不便と感じることは多いでしょう。
    いつスーパーに行っても当たり前に生鮮品が買える、ショッピングを楽しめる、という生活からは程遠く、「あるものでやっていこう」と思えなければストレスになりそうです。

    台風や災害などでおがさわら丸が父島に入港できない、または本土で物資が不足するような事態になれば、小笠原に回す物資などがなくなるリスクもあります。

    また、医療も最低限の診療所しかなく、緊急時はヘリで本土の病院へ搬送するしかありません。本土に住んでいれば助かるものも、間に合わないかもしれません。
    高齢者や病気がちの人が住むのにはなかなか厳しい場所でしょう。

    田舎にありがちですが、人間関係が狭くなるのも良し悪しでした。
    日常的に行く場所が被るため、買い物などどこへ行っても知り合いに会ってしまいます。

    特に苦手な人がいたわけではありませんが、家以外では常に人目に晒されているようで疲れてしまうこともありました。
    少しでも目立つことをすれば、良くも悪くもあっという間に広まってしまいます。

    都会の「雑踏に紛れる」というある種の安心感が恋しくなることもありました。

    まとめ

    住む環境が大きく変われば、それまで当たり前だった日常がガラッと覆されます。
    その変化に適応するのは大変ではありますが、新鮮で刺激的であるのは間違いありません。

    また、自分にとってどんな場所、生活、人間関係、仕事の仕方が合っているのか、見つめ直すきっかけにもなりました。
    若いうちに、とても貴重な経験ができたと思っています。

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